既存の情報発信手段の統廃合を含めたアプリ施策の実現
みのわメイトの導入経緯
2つの背景から検討のうえ、導入に至りました。
一つ目は、谷の地形から防災行政無線の放送が聞こえにくいという問題です。
「反響して聞こえづらい」という住民の声が定常的な課題となっていました。
このことから、家の中でどこでも防災行政無線を聞くことができるような仕組みをつくることが町の情報発信における大きな課題でした。
二つ目に箕輪町では音声告知放送の仕組みを活用した情報発信を行なっていましたが各家庭に設置された端末の老朽化が課題になっていました。
このような事情から見直しが必要だろうということで、スマホアプリでの発信の検討に至り、さらにはJ-WAVE i社のソリューションにも着目するに至りました。
導入してからの地域の変化
今まで運用してきた登録制メールなどは登録者に一方的に送信し、逆に住民側は情報が届くのを待つだけといった性質でした。
比較すると、みのわメイトではアプリにアクセスすれば過去のメッセージを見ることができたり、能動的に自分たちでグループをつくったりすることもできます。
これにより、行政からの情報が届くのを待つだけではなく住民が自ら発信したり活用したりすることのできる仕組みになっているのが、大きな特徴の一つです。
能動的に利用できる仕組みによって普段からのアプリ利用に馴染む方が少しずつ増えてきているのではないかと思います。
普段から使ってもらえるということは緊急時にも利用方法等に困らずスムースな利用になるのでないかと期待しています。
現在の定着状況
世帯数約10,000世帯に対して8,000人弱くらいの登録者数となっていますが、まだまだ十分とは言えないと思っています。
人口で割合として出すと20歳以上が4割登録していますが、まだ利用している年齢層に偏りがあるかもしれません。
例えば特徴的な取り組みとして現在、町内の学校の連絡網としての利用が進んでいます。
このため、子育てを行う一定の世代の皆様にはほぼ登録されているという面白い状況が生まれています。
このように利活用によって多く利用されている年齢層もありますが、一方でまだまだ利用されていない年齢層も存在している状況と考えています。
例えばみのわメイトでは地域の連絡網活用としての活用が可能ですが、そういった仕組みによって地域利用を増やしてもっと活性化させていきたいと思います。
まだ利用の少ない年齢層でも活用を増やしていきたいです。
地域定着までのエピソード
造成された宅地など、若い世帯が固まって住んでいる地区で、回覧板として使いたいという要望がありました。
こういったところから利用が広まっていったと思います。
また、例えば班や組などで連絡を取り合う際に、“特定事業者のメッセージアプリ”利用には抵抗がある方がいるけど、地域全体で連絡をとらなければいけない、そういったケースで、町が主体となって運営しているアプリがあってありがたいと言っていただいたことがあります。
みのわメイトの課題
大きくは2つの観点があります。
先ほどもお話しましたが一つは登録者をもっともっと増やしていきたいということです。
生まれ年に基づいた年齢分布の折れ線グラフをみると子育て世代に山があり、その次にもう少し上の世代が多い状況です。
そして、75歳くらいから上の世代にかけて一気に落ち込んでいくという分布になります。
この登録者の少ない年代は逆に、今後のアプリ登録者増の「伸び代」だと捉えています。
スマートフォンを持っていない方のフォローも含め、地域での活用を促進していきたいと思います。
全国の自治体へのメッセージ
自治体からの発信以外にも区や地域団体が情報発信できて双方向性もあるのが施策の魅力だと思っています。
合わせて肉声をはじめとした音声配信にも特徴がありますので、自治体DXの流れのなかで導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
箕輪町の魅力のご紹介
箕輪町は、長野県の南信地方、伊那谷に位置するおよそ25,000人規模の自治体です。
西に中央アルプス、東は南アルプスに囲まれている地形で、どこから景色を眺めても信州の雄大な山々を望む景観が魅力です。
加えてそのような地形から寒暖差によって農作物が豊かに育つことが大きな自慢になっています。
季節ごとにコメ、野菜、果物など幅広い農作物が育つ土地柄で、ユニークなところでは、赤そばや杜仲茶、それから抗酸化成分が豊富に含まれている「まつぶさ」という植物も名物です。